小さな質問のたびに、仕事が止まる
それなのに、今は社員の仕事についての質問で、携帯電話がいっぱいです。
「この進め方で合っていますか」「もう完了にしていいですか」「このお客様、前回はどうしていましたか」
どれも、もっともな質問です。ただ、すべてに自分で答えていると、経営のための時間がなくなります。
IPIでは、社員がより多くのやり取りを自分で進められます。あなたは仕事を把握し、必要な判断に入り、次の人のために教訓を残せます。すべての会話の真ん中に立つ必要はありません。
連絡を減らすだけでなく、管理の仕方そのものを変えるための仕組みです。
社員が増えても、社長の返事待ちは増やさない
五十人の社員がいる設備保守会社を想像してください。経営者のナディアは、新規顧客への提案書を書こうとしています。
二ページ目に進む前に、三人から連絡が来ます。一人は作業計画の確認。一人は、説明の足りない「修理完了」の報告。もう一人はその現場を初めて担当する社員で、なぜ特別な対応が必要なのかを聞いています。
ナディアは、三つとも答えられます。似た質問には、前にも答えました。
だからこそ、仕事が進むかどうかが、ナディアをつかまえて返事をもらえるかに左右されてしまいます。
社員は待ち、ナディアは頭を切り替え続ける。全員が忙しいのに、会社は社長の返事の速さでしか進みません。
社員が進める道筋を用意し、その様子は経営者から見える。この両方を、仕組みに任せられるようにしたいのです。
「これでいいですか」に、毎回あなたが答えなくてもいい
最初の質問は、「この作業をすればいいですか」です。
IPIでは、社員が取り組む仕事を提案します。会社が大切にしていることに加え、本人の状況も判断材料になります。
ナディアが提案の承認をIPIに任せていれば、IPIは受け入れるか、理由を添えて修正を求めます。曖昧な提案を、ナディアが毎回一から聞き直す必要が減ります。
たとえば「水漏れを直す」だけでは、説明が足りません。どの不具合を直すのか、いつまでに終えるのか、直ったことを何で確認するのかまで示せば、進め方が具体的になります。
社員には、次に使える返答が届きます。ナディアは、すべての指示や修正理由を自分で書かなくても、その仕事を追えます。
社員はIPIとやり取りし、仕事を進めます。経営者が、あらゆる相談の最初の窓口になる必要はありません。
一人ずつ聞かなくても、仕事の流れが見える
届いたメッセージで分かるのは、相手がそのとき伝えたことだけです。
仕事の記録には、何を提案し、受け入れられたのか、修正が必要だったのか、何を提出し、その後どうなったのかが残ります。
ナディアは、一人ずつ仕事を説明し直してもらわなくても、記録を開いて状況を確認できます。
提案を練り直している仕事と、自分の判断を待っている仕事は違います。修正後の提出が届いた仕事と、手つかずの仕事も違います。この違いが見えれば、どこに時間を使うかを決められます。
会話を減らしても、把握できることまで減らす必要はありません。説明が、すでに仕事の中に残っていればよいのです。
経営者が伝言役をしないと状況が分からない、という状態を変えます。
報告の量を増やしても、仕事が見えるとは限らない
サイボウズが紹介する西武ライオンズの事例が参考になります。営業部門にはすでに仕組みがありましたが、入力項目が増え、重要な進捗情報が更新されなくなっていました。見直しでは不要な項目を減らし、仕事の段階を分かりやすくしました。
たくさん入力してもらうことと、仕事を理解できることは別です。
次に届く報告を見て、何ができるか確かめてください。次の行動が分かるか。何を待っているか分かるか。自分が決めることがあるのか、それとも何を決めるべきか探すところからなのか。
IPIも、この基準で見てください。社員に長い報告書を書かせることではなく、社員が進めやすく、あなたが理解しやすい仕事にすることが目的です。
判断する前の確認を、IPIに任せる
次は、「終わりました」と戻ってきた修理です。
社員が結果を示すものを提出すると、IPIは合意した仕事と周辺の事情に照らして確認します。
写真には修理済みの配管が写っていても、予定していた動作確認の結果がなければ、その不足がナディアの判断前に分かります。
ナディアは、写真を見ながら最初の会話を思い出すところから始めずに済みます。依頼内容、提出物、IPIの評価を一緒に読めるからです。
ナディア、または権限を持つ担当者が、完了を認めるか、修正を求めるかを決めます。次の提出も同じ仕事につながります。
IPIのSI(Super Intelligence)は、経営者の時間を使っていた考察や確認を引き受けます。判断を求められるたびに、その材料集めまで一人で引き受ける必要を減らします。
担当が替わるたびに、同じ失敗の代償を払わない
三つ目は、新しい社員からの「なぜ、この現場だけ対応が違うのですか」です。
誰かが、以前の仕事で理由を学んでいます。作業は終わったように見えたのに、顧客の一番の困りごとが解消していなかったのかもしれません。残すべきなのは「丁寧にやろう」という標語ではなく、次の人が確認するべき具体的な点です。
それが伝わらなければ、ナディアがまた教えます。あるいは新しい社員が同じ失敗をして、会社が再訪問の費用を払います。
Inherited Willは、以前の仕事から得た教訓を残します。後の担当者が受け取れるように設定すれば、関連する学びをその人の仕事に届けられます。
次の人は、会社がすでに学んだところから始められます。以前の提出では何が足りなかったのかを、自分が取り組む前に理解できます。
前任者がそばにいる必要も、ナディアが経緯をもう一度話す必要もありません。
経験が、一人の記憶にとどまらず、会社で再び使えるものになります。
社員にとっても、待つことと推測することが減る
忙しい上司の返事を待つのは、社員にとっても負担です。
提案が十分に具体的なのか分からない。なぜ戻されたのか分からない。周りは知っているはずの小さな事情を、自分だけ知らないまま作業している。そんな場面があります。
IPIから明確な返答があり、仕事の経緯を読めて、関連する教訓も届けば、社員は次の行動を選びやすくなります。
社員が上司の意図を推測する時間と、上司が同じ説明を繰り返す時間。その両方を減らせます。
ただ「質問を減らして」と言うより、社員が進める理由をつくるほうが役に立ちます。
次の三つの質問を、答える前に分けてみる
一つは、どのファイルが最新かという、すでに答えのある質問かもしれません。二つ目は、結果が約束を満たしているかという確認。三つ目は、顧客に追加の対応を約束してよいかという、新しい判断です。
この三つに必要な助けは違います。すべてを「ナディアに聞く」にすると、ナディアだけが先へ進む道になります。
既知の答えは、社員が使える場所へ。仕事には、確認できる基準を。新たな事業上の判断は、それを決めるべき人へ。まずはそう分けてください。
そのうえで、道具がどの手間を引き受けるかを見ます。質問が別の受信箱に移っただけで、あなたが全部答えるのでは、負担は変わりません。
本当にあなたが決めるべきことに、時間を使う
顧客が契約以上の対応を求めている。大切な二件の仕事で、同じ社員を必要としている。以前の教訓では答えの出ない問題が起きた。
こうした判断には、ナディアが必要かもしれません。ただし、日常的な説明のすべてと、同じ時間を奪い合う必要はありません。
周辺の仕事を把握したうえで、結果を左右する判断に時間を使えます。
「五十の質問のうち、あなたが答えるのは五つでいい」は、そのための目標です。大切な人との接点を減らすのではなく、仕組みで進められることまで、あなたの返事に依存させないという意味です。
何度も手を止められる仕事で、試してみる
何度も同じ説明をしている、繰り返しの仕事を一つ選んでください。
社員がIPIで提案し、返答を受け、結果を提出する。その確認を見てください。別の会話を始めずに、どこまで理解できるでしょうか。次の人に残せるものはあるでしょうか。
画面が整っているかだけで判断せず、何がもう自分を通らなくても進むのかを見てください。
あなたが会社を率いることは変わりません。会社を進める唯一の通り道でなくてよくなるのです。
すべてに答えなくても、仕事は把握できる。
紹介を見たら、いつも確認が集まる仕事を一つ、社員とIPIで進めてみてください。